雨降りの帰宅
田舎で生まれ育ったため、大自然と野生動物には不自由したことがなかった。
小学生の頃のこと、いつも通り、学校から家へ帰宅途中だったある日、
急に雨が降ってきた。
天気予報では、雨が降る予定ではなかったので、
傘を持っていなかった。
とっさに周りを見回すと、
成長し過ぎた野生の「フキ」がボウボウとたくさん生えていた。
もっと小さめの柔らかいフキなら、学校帰りにたまに摘んで持ち帰り、
夕食の煮物になったりもしたが、この時は、大きいフキを摘んだ。
傘代わりにすると、大きさもちょうど良く、雨にもあたらず、
なんなら、これも夕食の煮物になれば、一石二鳥だなんて考えながら、
雨の中、にやけながら帰宅した。
帰宅後、大きなフキを傘代わりに使った機転を母に褒められ、
ゆめこは少し天狗になった。
大きなフキは、やはり、夕食の煮物になった。
固くてまずかった。