YUMEKO-Happy diary

ゆめこ日記へようこそ♬ 記憶や妄想や空想が暴走。時には現実、時には夢、勝手な思いつきで、日々、自由に綴っていくつもり。

ニワトリが来た

大自然に囲まれた環境で生まれ育ったので、
動物との出会いに不自由したことはなかった。
犬、猫はもちろんだが、馬や牛、きつね、鹿、リス、ヘビ等、色々な動物がいた。
 
ある日の小学校の帰り、いつも通りに、
トンボやバッタと楽しく遊んで道草を食っていたら、
どこから来たのか、ニワトリが「コッコッコッコ」と歌いながら近づいてきた。
 
ゆめこは、ニワトリがかわいくて、ナデナデしてあげた。
そして、帰宅しようとしたら、なんとニワトリが後をついてきた。
「来ちゃダメ、お家に帰ってね」と言ったが
それでも、ずっとついてきた。
ゆめこの家に着いた。
「あんた、今度は何を連れてきたの!!!」最強の母に叱られた。
「違うの、ついてきちゃったの!」 
ゆめこは、何があったのかを必死に説明した。
父が出て来た。
「それは、鳥屋さん家のニワトリだと思うから、
迎えに来て下さいって電話してあげて」
ゆめこは電話が苦手だったけど、ニワトリのためだから電話した。
留守番電話になっていた。
ゆめこは留守番電話にお話するのがとても苦手だったが、
ニワトリのためだから、ニワトリがゆめこの家にいることを伝えた。
 
30分後位に、鳥屋さんが来た。
「どうもどうも、すみませんでした」とか何とか父に挨拶をしている。
ゆめこの家の玄関は、時計屋さんの広い店舗になっているから
ニワトリは、それまで「コッコッコッコ」と歌いながら首を前後させて
楽しそうにご機嫌に端から端まで歩いていたが、
 
鳥屋さんが来たらいきなり
「ギョエーコッコッコッコ」と叫び走り始めた。
ゆめこは何事かと思ったが、どうやら、
一羽だけで勇気を振り絞って逃げて来た様子・・・
結構やるな手
 
ゆめこは、なんだかニワトリを応援したくなってきた。
食べられるか売られる運命ならば、さすがに可哀そうだと思った。
 
「これからは、ゆめこが家族になるよ」
と言ってみたが、父にチッと舌打ちされた。
鳥屋さんは、ニワトリの卵を売ったり、
卵を産めなくなったニワトリを売って生計を立てていた。
父はそれを知っていたから、
人様のご商売の邪魔をしてはいけないと思ったらしい。
そんなことを全く知らないゆめこは、
「ゆめこはお友達にもなれるよ」とも言ってみたが、
ニワトリは、とうとう連れて行かれた。
 
歩いて帰る鳥屋さんの右腕に、
あのニワトリが抱えられて、
ゆめこの顔をじっと寂しそうに見つめながら、
どんどん距離が離れて
やがてニワトリの姿は見えなくなった。
 
ゆめこは、世の中には、
頑張ってもどうにもならないこともあるんだと思った😢